2026年4月、墨田区民泊規制はどう変わる?

条例案の主な内容

墨田区では、いままで比較的規制が緩やかだった民泊(いわゆる「新法民泊」:住宅宿泊事業法)について、住民生活環境の悪化を防止する観点から上乗せ条例の検討が進んでいます。主な骨子は次の通りです。

  • 区内全域で、平日(月曜日正午〜金曜日正午)の営業を原則禁止とする案。

  • ただし、届出者または管理者が常駐体制を敷き、周辺環境に即応可能な管理体制がある施設については、例外的に営業を認める案。

  • 事前に近隣住民への説明会開催、標識掲示、届出者情報・営業施設情報・違反者公表など、運営の透明化・管理強化。

  • 旅館業(簡易宿所・ホテル)側についても、管理者常駐義務など、民泊と同等レベルの管理強化を図る案。

 

 

 


実施スケジュールと見込み

  • 区公式サイトによれば「住宅宿泊事業等の規制のあり方に関する検討」を進めています。

  • 解説記事等では、条例案の施行予定を2026年4月1日と報じています。

  • ただし、「案(素案段階)」であり、内容確定・議会承認・届出済物件への経過措置などにより実際の運用・対象範囲には若干の変動が起こる可能性があります。

 

2026年4月以降「どうなるか」

この条例案がそのまま施行されたと仮定すると、物件を運営・検討している方には以下のような影響が想定されます。

影響① 営業日数・運営モデルの変更

  • 平日の営業が原則できなくなる →「月曜正午〜金曜正午」の時間帯が営業不可という案なので、実質的には平日の宿泊利用を想定した運営が難しくなります。

  • 週末・休日・祝日・金曜正午以降〜月曜正午あたりに集中した運営が必然的にメインになる可能性。

  • もし「常駐体制」が整備できない場合、新規届出・運営継続が困難になる可能性あり。

影響② 運営コスト・管理体制の強化

  • 常駐体制(管理者が施設内・または敷地内に常駐)や即応体制を整える必要性が出てくる。駆け付け「30分以内」等の遠隔型から常駐義務へという見込みもあります。

  • 事前説明会、標識掲示、住民向け対応・苦情窓口の強化など、運営・管理にかかる手間・コストが増える。「運営モデル+費用再計算」が必要です。

  • 収益モデルも「稼働日数が少なく・平日収益が見込みにくく」なるため、投資回収スケジュール等の見直しが求められます。特に平日稼働を前提にした物件では影響が大きいです。

影響③ 新規・既存事業者への影響

  • 新規に届出を出す事業者については、この新ルールを前提に物件選び・運営設計を行うべき。

  • 既存の届出施設についても、施行後は「既存特例(経過措置)」の内容次第でルール適用がある可能性があります。例えば「施行前届出分は猶予あり」という報道もあります。

  • 物件を建設中・改修中で導入を検討中であれば、2026年4月までに届出・運営モデルの確定をしておくことがリスク低減になります。


🏗 建設業者/物件オーナー視点でのポイント

  • 物件を民泊運営向けに設計・改修・投資予定なら、「平日稼働」が大きな収益源であればその見込みが甘くなる可能性があります。

  • 建築・設備投資にあたって「常駐可能なレイアウト(管理者居住・受付設置など)」を検討する必要があります。

  • 用途地域・建物構造・消防・音環境の対応は既に一般的ですが、これに加えて「人が常駐できる設備・仕様」も設計要件に加えるべきです。

  • 収支モデルを「平日停止/週末集中」または「常駐体制ありで平日可」の二つのシナリオで比較しておいた方が安全です。

  • 届出・運営開始時期を「2026年3月まで/4月以降」のどちらでスタートするかで、適用ルールが変わる可能性があるため、スケジュール把握が重要です。


❓ 注意すべき点・未確定事項

  • この条例案は「素案」「検討中」の段階です。正式な条例名・条文・議会可決・施行日・経過措置等が確定しているわけではありません。

  • 施行日が若干前後する可能性があります。報道では2026年4月1日施行予定という記述がありますが、確定ではありません。

  • 既存施設への遡及適用の範囲・猶予期間がどうなるか、運営形態(常駐/駆け付け)による区分がどうなるか、まだ明確に発表されていない部分があります。

  • 他の区・自治体でも類似の動きが強まっており、23区全体で民泊規制が厳格化する流れなので墨田区だけの問題ではありません。

 

 

民泊(住宅宿泊事業)と旅館業営業の違いまとめ

🏠 ① 目的・制度の違い

■ 民泊(住宅宿泊事業法)

  • 本来は“住宅”を活用する制度

  • 空き家・空き部屋の有効活用を目的

  • 年間営業日数に上限あり(180日)

■ 旅館業(旅館業法:簡易宿所・ホテル等)

  • 最初から“宿泊施設”として営業する制度

  • 営業日数の上限なし(365日営業可能)

  • 設備・構造基準は民泊より厳しい

  • 消防設備・間取り・動線・衛生管理が必須

 


🗓 ② 営業日数の違い

項目 民泊(住宅宿泊事業) 旅館業(簡易宿所等)
営業日数 年間180日まで 上限なし(365日営業OK)
平日営業 墨田区では2026年4月以降、平日禁止の可能性 影響なし
利用形態 住居利用と宿泊の“併用” 宿泊専用

🧑‍💼 ③ 管理体制の違い(現場で重要)

項目 民泊 旅館業
管理者 不在でも可(駆けつけ30分以内 多い) 原則、管理者常駐
苦情対応 行政からの指導あり 旅館業は厳格に管理義務
受付・フロント 不要 実質的に必要(対面 or 常駐管理室)

※墨田区案では 民泊も常駐体制を要求する方向 なので、旅館業との“差”がさらに小さくなる可能性大。


🔥 ④ 消防設備・建築基準の違い

項目 民泊 旅館業(簡易宿所)
消防設備 「宿泊人数・階数」で最低限必要 自火報・誘導灯・非常用照明などが必須(物件により大きく増える)
建築基準法 住宅扱い 特殊建築物扱い(用途変更が必要な場合あり)
避難経路 推奨レベル 確保必須(幅・距離基準あり)
衛生設備 住宅基準で可 旅館業法の衛生基準を満たす必要あり

🧾 ⑤ 申請・手続きの違い

項目 民泊 旅館業
申請先 区(住宅宿泊事業届出) 保健所(旅館業営業許可)
審査 書類中心、比較的早い 現地検査あり、設備要件が多い
工事量 小規模で開始しやすい 建築・電気・消防工事が必要な事が多い

💰 ⑥ 収益性の違い

項目 民泊 旅館業
稼働日数 180日しか稼働できない(+墨田区は平日NG案) 365日フル営業可
稼働率の伸びしろ 限定的 高い(365日×柔軟な価格設定)
長期運営の安定性 条例影響大 事業として安定

🧱 ⑦ 建物リフォーム・工事目線の違い

■ 民泊の工事

  • リフォームレベルで開始できる

  • 玄関の電子錠、Wi-Fi、簡易防火対策

  • 大規模工事ほぼ不要

■ 旅館業の工事

  • 消防設備工事(自火報・誘導灯・非常用照明)

  • 用途変更(2→16項旅館)必要な場合あり

  • 手すり・避難経路・換気・排水などの整備

  • 宿泊室数が多いほど設備増

工事利益は民泊より旅館業の方が大きい(リノプロさんの実務にも近い)


📌 まとめ:どちらを選ぶべきか?

▪ 民泊に向いている物件

  • ワンルーム・戸建ての小さめ

  • 週末だけで採算が取れる

  • 常駐体制を取るのが難しい物件

▪ 旅館業(簡易宿所)に向いている物件

  • 365日稼働で収益を最大化したい

  • 建物構造がしっかりしている(鉄骨・RCなど)

  • 消防設備・用途変更に対応可能

  • 1棟運営・複数室で回したい

  • 墨田区の平日禁止案の影響を受けたくない

 

 

 

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